(原文:Casey MacGuigan/翻訳:インフラジスティックス・ジャパン)
昨年インフラジスティックスが公開した調査レポート「組込み型アナリティクスにおけるトレンド 2019年度版(英語)」では、調査対象者の29%がすでにERPで組込み型アナリティクスを利用しているか、今後利用する予定であることが分かりました。この数値は、選択肢にあった他のどのアプリケーションも上回るものでした。(調査対象:ソフトウェア開発者、IT運用マネージャー、ビジネス意思決定者など478名)
ERP(エンタープライズリソースプランニング:企業資源計画)のデータは複雑で量が膨大なため、それをシンプルに視覚化できるダッシュボードやデータ可視化をERPアプリケーションに取り入れることへの関心が高いことは理にかなっていると言えます。通常、ERPシステムには、会計、人事、製造、CRM、在庫管理など、さまざまなビジネスアプリケーションが含まれます。ERPシステムの価値は、これらのビジネスアプリケーションに関連する情報のデータベースを維持し、企業全体でデータを共有できるようにすることで組織のサイロ化を解消することです。
エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)とは?
ERPは名前が示すように、あらゆる規模の組織や様々な業界で、日常業務、財務、製造、人事、報告、マーケティング、サプライチェーンなどを管理するためのビジネスプロセス管理ソフトウェアです。 ERPソフトウェアでは、単一の情報源を用いて異なるビジネスプロセス間におけるデータの共有が可能になります。これは計画や予算編成、成長戦略、そして組織の健全な財務状況を維持することに役立ちます。
ERPシステムの仕組みは?
ERPシステムは、企業の様々な部門からデータを収集し、誰もがそのデータにアクセスでき、より良い情報に基づいた意思決定をするためにデータからの情報を活用することができ、集中データベースに格納します。その主な使用法の一つは、社員の業務プロセスを簡略化し、反復的なタスクを自動化することによって、手作業を減らすことです。その結果、多くの企業が苦しんでいる縦割り構造がなくなり、最適な形で事業を運営し、収益性を向上できるようになります。
なぜERPが重要なのか?
不動産、製造、小売、健康、その他多くの業界の企業がERPシステムを探している、あるいはすでに使用していることは偶然ではありません。実際、企業の81%はERPを導入する過程にあるか、すでに導入しており、ERPが企業に与える価値は莫大です。 ここでは、ERPが企業にもたらすメリットをいくつかご紹介します。
- 業績の向上 – 例えば、ERPシステムはコンバージョン率、セールスのプロセス速度、クローズ率、顧客満足度、広告費用対効果などを追跡することにより、マーケティングにおける業績を向上させることができます
- 運用コストの削減 – Business Automation Specialists (英語サイト)の報告によると、ERPシステムを使用している企業は、在庫コストを22%、運用コストを20%、管理コストを18%削減しています
- データセキュリティの向上 – ERPシステム内のデータは、一元管理されたシステムに格納されているので、アクセスは厳密に監視されます。また、データ漏洩を防ぐため、厳しい制限を設けています
- プロセスの効率化 – 全ての部門の日常業務を効率化することで、日々の業務活動を改善します。
もちろんERPシステムが企業にとって重要である理由は他にもたくさんあります。 特筆すべきもう一つのポイントは、正確な予測ができるということです。先を見据え、それに応じて計画を立てることは、ERPシステムの最大の強みの一つです。
ERPシステムの種類
ERPシステムの種類は企業規模、利用形態、業界によってグループ化することができます。企業が必要とするERPシステムの具体的な種類は、企業の規模や組織のニーズを満たすシステムの性能によって異なります。そのため、ERPシステムの種類は、事業規模別、利用形態、業種別の3つに分類されます。
企業の規模:
小規模企業向けERP
起業して間もない可能性もある小規模企業は、大企業や組織と同じスケールでは稼働していません。同様に小規模企業のニーズや、小規模企業がERPシステムから必要とする機能も異なります。これが、このような企業のニーズに合わせて設計されたERPシステムが存在する理由です。
コストを抑え、ERPシステムを学ぶ研修のための時間とリソースが削減されるため、機能は少なくなります。
中規模企業向けERP
中規模企業が拡大するにつれて、会社が成長するためのニーズを満たせるERPシステムを採用する必要があります。中小企業のERPシステムと比較すると、中規模ビジネスのニーズや部門間の共同作業、カスタマイズ、高度なデータ機能、プロセスの自動化などをサポートするために、より多くの機能と性能を必要とするはずです。
大企業向けERP
大企業のERPシステムは、組織内のすべての構成要素とプロセスをサポートするように設計されています。このERPシステムは、中小企業のERPシステムがサポートするすべての機能と特徴を持っていますが、より強力で、日常業務や部門間で発生する業務を管理や整理するだけでなく、膨大な量のデータを収集、処理、分析することができます。
利用形態:
オンプレミスERPソフトウェア
オンプレミスERPソフトウェアは 企業の管理するコンピュータやサーバー上にオンサイトで導入されており、インストール後は主に企業によって管理されます。この形態は、ERPシステムのセキュリティをコントロールしたい人に向いています。
クラウドベースERPシステム
クラウドベースのERPシステム、別名SaaS(サービスとしてのソフトウェア)は柔軟に設計されており、会社内の誰もが簡単にデータを処理し、分析することができます。付属しています。このタイプのソリューションは通常、とてもユーザーフレンドリーであるため、社員が使用するために専門的なスキルやトレーニングは必要ありません。
クラウドベースのシステムでは、第三者がサービスを管理し、データも管理します。そのため導入したいソリューションは、プロバイダーを賢く選ぶ必要があります。データの取り扱いをベンダーに委ねる場合、そのベンダーが信頼できるかどうか、そして大切なビジネスデータが安全に保護されるかを確認する必要があります。
業界:
業界に特化したERP
業界特化型またはバーティカルERPシステムは、一般的にサイズは小さく高価ですが、金融、小売、製造など特定の業界に適しています。業界特化型のERPソリューションは、具体的かつ高度な業務上の課題を解決するためにカスタマイズされた以下のような機能を持つことで、特定の業界で定義された業務プロセスをサポートするために設計されています。
ERPの機能
ERPシステムの機能は多岐にわたりますが、以下に挙げるのは、このようなシステムで一般的に見られるERPの基本的な機能です。
統合機能 – これはおそらく、ERPシステムで最も重要な機能です。ERPシステムは他のシステムと接続できるようにすることで、1箇所にまとまった場所から業務フローに沿った必要な情報を手に入れられるようになります。
自動化 – ここまでで、すでに自動化について数回言及してきましたが、改めて自動化がERPの重要な機能の一つである理由を説明します。繰り返し発生する業務プロセスを自動化することで時間を削減し、社員がより重要なタスクに時間を割けるようになります。 その上で非常に重要なのは、ヒューマンエラーの可能性を減らすことができるということです。ミスが起こることで業務に支障をきたすことは起こり得ることですが、自動化によってその可能性を排除することができます。
財務会計管理 – 財務会計管理機能は、支出の記録、予算の計画、成長のための財務予測などに役立ちます。 この機能により、適切な支出の判断が可能になり、より情報量の多い正確な財務報告書を作成できます。
顧客管理 (CRM) – 顧客データを管理し、営業やマーケティング部門が顧客ニーズに合わせて対応し、顧客の好みや購買パターンをより理解するための戦略に役立てることができます。また、すべての顧客情報を一箇所にまとめて簡単にアクセスできるようにすることで、例えばユーザーが配送手続きの際などに、顧客の住所をすぐに見つけることができます。
データ分析 – データ分析機能により、最新のデータをリアルタイムで取得し、競合他社に先駆けた経営判断の向上に役立てることができます。
レポート機能g – ERPにおけるレポート機能は、エンドユーザーが理解しやすい方法でデータを提示するために必要なツールです。このツールにはダッシュボードや、さまざまなタイプのチャートやグラフ、そしてそれ以外の視覚的な要素も含まれています。
なぜ今、ERPに組み込み型データ分析が重要なのか?
分かりやすいグラフやダッシュボードを使ってデータを簡単に視覚化する機能があれば、特定の問題に対する深い情報をより速く得られますし、ビジネス目標の策定に役立ちます。データ分析をして傾向や外れ値を特定したり、統計テストを行うこともできます。
ユーザーがデータをエクスポートして別のアプリケーションにインポートする手間が省けるよう、データ分析やデータ視覚化機能がERPソフトウェア自体に組み込まれていることが重要です。ビジネスユーザーでも簡単に自分でデータを加工して分析することができる機能があったら、社内のより多くの人が顧客の特性、満足度レベル、製品データ、工場の効率や出荷された注文などの生産データといった自分の業務に関連するビジネスデータをより深く知ることができます。
例えば、
グローバルなERPシステムベンダーであるスーパーストリーム社は、グループ企業である海外子会社のERP情報を瞬時に可視化するSuperStream-NX ERPシステムを提供しています。このシステムでは、グローバリゼーションの成功に不可欠な現地の商慣行、通貨等の機能を提供しています。
データ分析ソリューションであるRevealをSuperStream-NXに組み込んだ同社の山田誠氏は、RevealのERPデータを視覚化する機能性と導入の容易さについて以下のようにコメントしています。
「私たちは9,000社以上の日本の顧客にERPパッケージを提供していますが、Revealをパッケージに組み込むことで大量のデータを視覚的に分かりやすいグラフやチャートで表示できるようになりました。簡単にグラフを作成でき、業務効率の向上につながります。」(スーパーストリーム株式会社 最高技術責任者 山田誠氏)
山田氏は、ユーザーインターフェースが非常に分かりやすいので顧客に対してマニュアルを作成する必要がない点についてもRevealのメリットとして挙げています。また、Revealがインメモリーをサポートしているため、スーパーストリーム社はすべてのERP機能にグラフとチャートを実装することができたと言います。
データ分析機能をERPシステムへ組み込む方向に市場はシフトしている
ほんの数年前まで、サードパーティ製のBI製品を企業が導入し、高度な知識を有するデータ分析の専門家チームがその製品にERPシステムのデータをインポートして分析、解釈するのが一般的でした。しかし、すべての分析を少数の専門家が行うためタイムリーにデータを分析することができず、ボトルネックになってしまっていました。
サプライチェーン管理用のダッシュボードは、複雑なデータ列を美しいチャートやグラフに変換し、業務効率やトレンド、ビジネスチャンスなどを明らかにしてくれます。
現在では、ソフトウェアアプリケーションに組み込めるアナリティクスソリューションに対する市場ニーズが高まるにつれ、単なる数値管理だけではなく、ビジネスの意思決定や戦略の策定に役立つデータを提供することがERPシステムに期待されています。
これこそが、Revealの最も得意とするところです。
Revealは、社員、顧客、パートナー、サプライヤーがデータを活用できる環境を提供します。 追加条件を設定することなく、データ分析機能をアプリケーションに簡単に組み込むことができます。 Revealの柔軟なアーキテクチャとAPIでアプリケーションの機能をコントロールし、ユーザー体験の一部として違和感なく利用することができます。
Revealは、インタラクティブなダッシュボード、ドリルダウン、コラボレーション、データ共有、そして本当の意味での自己完結型サービスを、あらゆるデバイス上でドラッグ&ドロップできるダッシュボード作成環境を提供し、誰もが自分のアプリケーションで美しいダッシュボードを構築できるようになります。
データを活用することで、自分自身や同僚、顧客、パートナー、サプライヤーが、スプレッドシートを分析するために無駄な時間を費やす必要がなくなり、収集した情報に集中し、事実に基づいた選択をするための時間を確保できるようになります。リアルタイムでデータにアクセスすることで、適切なタイミングで行動することができ、チャンスを逃すことはありません。
デモを予約いただき、組み込みデータ分析ソリューション”Reveal”の詳細およびビジネスを成長させるデータ活用例をご覧ください。